Renal cyst

腎嚢胞

腎嚢胞とは

腎嚢胞は、腎臓の中にできる液体で満たされた袋状の構造です。単発でできるものから複数存在する場合まであり、その多くは良性で症状もありません。健康診断や人間ドックで偶然見つかることが多く、40歳以上で約半数の方にみられるとも言われています。

原因と種類

腎嚢胞の多くは「単純性嚢胞」であり、明確な原因は不明ですが、加齢に伴い自然に形成されることが多いと考えられています。
「多発性嚢胞腎」という遺伝性の病気では、両側の腎臓に多数の嚢胞が形成され、腎機能の低下を引き起こすことがあります。最終的には腎不全に至り、透析や腎移植が必要となるケースもあるため、注意が必要です。
また、嚢胞の内部に出血や石灰化、隔壁などが見られる場合は、腫瘍性の嚢胞や腎がんの可能性もあります。

症状

単純性腎嚢胞は通常無症状で、生活に支障をきたすことはほとんどありません。ただし、嚢胞が非常に大きくなる場合は、以下のような症状が現れることがあります。

  • 腹痛、背部痛:嚢胞が周囲の臓器や神経を圧迫することで生じます。
  • 血尿:嚢胞内に出血が起こった場合に見られます。
  • 腹部膨満感:嚢胞が大きくなり、お腹が張るように感じることがあります。
  • 高血圧:嚢胞が腎臓の血管を圧迫し、血圧が上昇することがあります。

検査

診断には超音波検査、CT検査、MRI検査などの画像診断が用いられます。これらの検査により、嚢胞の構造や性状(壁の厚さ、出血、石灰化など)をより詳細に評価できます。腎がんとの鑑別が必要な場合は造影剤を使用した画像検査も検討されます。

治療

単純性腎嚢胞で症状がない場合は、基本的に治療は不要であり、定期的な経過観察が行われます。
嚢胞が大きくなり症状がある場合や、悪性の可能性が疑われる場合には、嚢胞の内容物を吸引、切除する治療が検討されます。
多発性嚢胞腎の場合は、腎機能の低下を遅らせるための薬物療法や、症状に対する対症療法が行われます。
腎嚢胞は多くの場合心配のないものですが、定期的な健康チェックを受け、異常を指摘された場合は専門医の診察を受けることが大切です。