高尿酸血症
高尿酸血症について
高尿酸血症は、日本人の約1,000万人以上が抱えている非常に一般的な疾患であり、血液中の尿酸値が異常に高い状態のことです。特に30代以降の男性に多く見られ、食生活の欧米化やアルコール摂取量の増加に伴い、患者数は増加傾向にあります。
多くは自覚症状がないまま進行しますが、痛風発作(関節の激しい痛み)や尿路結石、腎機能障害の原因となります。さらに、肥満・高血圧・脂質異常症・高血糖などを合併しやすいことも知られています。
高尿酸血症を適切に管理することで、痛風発作や腎臓病のリスクを大幅に減らすことができるため、早期発見と継続した治療が非常に重要です。
高尿酸血症の診断基準
一般に、血清尿酸値が 7.0 mg/dL を超える場合に高尿酸血症と判断されます。
※尿酸値は食事・飲酒・脱水・運動量などで変動するため、必要に応じて複数回の測定や、腎機能などの評価もあわせて行います。
原因とリスクファクター
高尿酸血症は、尿酸の産生過剰と排泄低下によって起こります。
産生過剰型
体内で尿酸が作られすぎるタイプです。主なリスクファクターとして、以下が挙げられます。
- プリン体の多い食事(レバー、白子、魚卵、干物、ビールなど)
- 過度の飲酒(特にビール)
- 肥満
- 激しい運動
- ストレス
- 遺伝的素因
排泄低下型
腎臓からの尿酸排泄が低下するタイプで、高尿酸血症患者の約60%を占めます。主な原因として、以下が挙げられます。
- 腎機能の低下
- 脱水
- 一部の薬剤(利尿薬、低用量アスピリン、抗結核薬など)
- 遺伝的素因
続発性高尿酸血症
他の病気や薬剤が原因で起こる高尿酸血症です。主な原因疾患として、腎不全、多発性骨髄腫、悪性腫瘍、乾癬、溶血性貧血などがあります。
症状
高尿酸血症そのものは、ほとんど自覚症状がありません。そのため、健康診断で偶然見つかることが多い病気です。
ただし、尿酸値が高い状態が続くと、以下のような問題が起こることがあります。
- 痛風発作:足の親指の付け根などが突然赤く腫れ、強い痛みが出る
- 尿路結石:背中〜わき腹の痛み、血尿など
- 腎機能障害:むくみや倦怠感が出る前に、検査で進行していることもあります
高尿酸血症が引き起こす合併症
・心血管疾患: 高尿酸血症は動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます
・メタボリックシンドローム: 高尿酸血症は高血圧、糖尿病、脂質異常症と合併しやすく、これらが重なることで心血管疾患のリスクがさらに高まります
診断方法
診断は、血液検査・問診・必要に応じた追加検査を総合して行います。
血液検査
- 血清尿酸値
- 腎機能(クレアチニン、eGFR など)
- 肝機能、血糖値、HbA1c、脂質 など
その他の検査
高尿酸血症と併存しやすい疾患や、合併症の有無を評価するために、以下の検査を行います。
- 尿検査:尿酸排泄量、尿pH、尿タンパクなどを調べます
- 腹部超音波検査:腎結石の有無を確認します
- 関節超音波検査:痛風結節や尿酸結晶の沈着を確認します
- 心電図・心エコー検査:心機能の評価を行います
- その他の検査:必要に応じて、腹部CT、関節X線検査などを行います
治療の方針
高尿酸血症の治療の目的は、尿酸値を下げることそのものではなく、「痛風発作や腎障害などの合併症を防ぎ、将来の心血管疾患を予防すること」にあります。
高尿酸血症の治療は、生活習慣の改善を基本とし、必要に応じて薬物療法を行います。
1. 生活習慣の改善
軽度の高尿酸血症や、薬物療法を開始する前の段階で、まず取り組むべき治療の基本です。尿酸値を改善するだけでなく、痛風発作や腎障害のリスクを総合的に減らす効果があります。
| 項目 | 具体的な目標と方法 |
| 食事療法 | プリン体の多い食品(レバー、白子、魚卵、干物、えび、かつお、まぐろ、あん肝など)を控えましょう。肉や魚は1日120g程度を目安にしましょう。大豆製品、野菜、海藻を積極的に摂取しましょう。果糖を多く含む清涼飲料水は控えましょう。 |
| 体重管理 | BMI 25未満を目指しましょう。特に肥満の方は、体重を減らすことが尿酸値改善に直結します。ただし、急激なダイエットは尿酸値を上昇させるため、緩やかな減量を心がけましょう。 |
| 運動 | 毎日30分程度の有酸素運動(ウォーキング、軽いジョギング、水泳など)を目標としましょう。激しい運動は尿酸値を上昇させるため、無理のない範囲で行いましょう。 |
| 節酒・禁酒 | アルコールは尿酸値を上昇させます。特にビールはプリン体が多いため控えましょう。目安は日本酒1合、ビール500ml、ワイングラス2杯以下。できれば禁酒が望ましいです。 |
| 水分摂取 | 1日2リットル以上の水分(水やお茶)を摂取しましょう。尿量を増やすことで、尿酸の排泄を促進できます。 |
2. 薬物療法
生活習慣の改善だけでは十分に下がらない場合や、痛風発作を繰り返す場合、腎障害・結石などを伴う場合に検討します。
主な薬剤は以下の通りです。
- 尿酸生成抑制薬(尿酸を作る量を減らす)
例:アロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット など
※腎機能に応じた用量調整が必要な薬剤もあります。 - 尿酸排泄促進薬(尿として出す量を増やす)
例:ベンズブロマロン、ドチヌラド など
※尿路結石のリスクに注意し、必要に応じて尿アルカリ化薬を併用します。
※痛風発作が起きている最中の対応(痛み止め等)と、尿酸を下げる治療は考え方が異なるため、自己判断で薬を増減せずご相談ください。CKDがある方ではNSAIDsの使い方に注意が必要です。
管理目標値
血清尿酸値の管理目標は6.0 mg/dL以下とされています。痛風発作を繰り返している場合や、痛風結節がある場合は、より厳格な管理が求められることもあります。
日常生活の注意点
- 薬を自己判断で中断しない
- 定期的に血液検査を受け、尿酸値を確認する
- 食事内容を記録し、食生活を見直す習慣をつける
- 体重を定期的に測定する
- 脱水に注意し、こまめに水分補給をする
- 他の生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)も併せて管理する
自己チェックリスト
以下の項目に当てはまる方は、高尿酸血症のリスクが高い、またはすでに高尿酸血症の可能性があります。
- 健康診断で「尿酸が高い」と言われた(7.0 mg/dL超)
- 痛風発作のような関節の腫れ・強い痛みがある
- 尿路結石の既往がある(背中〜わき腹の痛み、血尿など)
- お酒をよく飲む、甘い飲み物をよく飲む
- 肥満気味である(BMI 25以上)
- 運動不足である
- 高血圧・脂質異常症・糖尿病を指摘されたことがある
- 家族に痛風・高尿酸血症の人がいる
当てはまる方は、一度医療機関で血液検査を受け、腎機能や合併症も含めて評価することをおすすめします。
まとめ
高尿酸血症は自覚症状が少ない一方で、放置すると痛風発作・尿路結石・腎障害などを起こすことがあります。しかし、生活習慣の改善と適切な治療によって、これらのリスクは大きく下げることが可能です。
参考

